結婚式や披露宴で花嫁の次に注目を集めるのが「新郎」です。
主役の一人として、花嫁の隣に立つものとして相応しい婚礼衣裳を選ぶことが大切になります。
衣裳合わせの際には、ドレスショップの店員さんと一緒に選ぶことになるので、マナー違反になる心配は全くありませんが「実際にどのような婚礼衣裳が選べば良いのか?」を事前に知っておくと、当日スムーズに事が運べると思います。
目次
タキシードが断トツ人気!花婿の婚礼衣裳
花婿の婚礼衣裳として人気が高いのが「タキシード」です。
次に紋付袴、フロックコート、燕尾服(テールコート)と続きます。
礼服には時間帯による着用の規則があり、欧米では厳格に守られていますが、日本ではそれほどでもなく「昼でもタキシードOK」という感じになっています。
【時間帯ごとの相応しい礼装の種類】
昼~18時:正礼装(フロックコート、モーニングコート)、準礼装(ディレクターズスーツ)
夜:正礼装(テールコート)、準礼装(タキシード)
タキシード
タキシードはニューヨークのタキシードパーク内の会員制クラブで行われた正装舞踏会で、一人のクラブ員がスモーキングジャケットを着用したことが始まりとされます。
元々は夜の準礼装なのですが、昼夜問わず着用されるほど、花婿の婚礼衣裳として高い人気があります。
絹布の衿の上着に、黒のカマーバンドを腰に巻き、2本のモール糸が付いたパンツが特徴的です。
体型問わず、どのような人にも似合うことも、選ばれる大きな理由になっています。
またタキシードは結婚式に招待された時に着る機会もあるので、レンタルではなく購入する人も少なくありません。
【シャツ】
白のひだ胸シャツ
【タイ】
黒の蝶ネクタイまたはアスコットタイ
カマーバンドが黒以外の色ならば、その色に合わせる
【靴】
黒のプレーントゥまたはオペラパンプス
紋付袴
男性の和装は「黒の五つ紋付羽織袴」または「色紋付羽織(三つ紋、一つ紋)」の2種類あり、格式は紋の数によって変わります。
正装:黒羽二重の染め抜き五つ紋羽織、仙台平または博多平の黒か茶の縞でひだのある袴
準礼装:三つ紋
略礼装:一つ紋
挙式に着用する婚礼衣裳は「黒五つ紋付きの羽織」になります。
色紋付は略礼装なので挙式には着用せず、披露宴のお色直しやパーティが一般的です。
フロックコート
フロックコートは昼の礼装です。
前合わせがタブルボタン(現在はシングルボタンが多い)の上着で、丈が前も後ろも膝まであるのが特徴的です。
パンツは縞か上着と同じ布(共布)を合わせて、ベストを着用します。
一般的に背の高い人に似合うデザインです。
【シャツ】
白のウイングカラーシャツ
【タイ】
アスコットタイまたは結び下げ
【靴】
黒のストレートチップまたはプレーントゥ
【結婚準備のリアル管理人の実体験】
衣裳合わせの際、彼が店員さんに勧められていたのが「フロックコート」でした。
事前に「挙式は11時30分を予定しています」と話をしていたので、タキシードではなく、昼の正礼装であるフロックコートを選ばれたのだと思います。
彼はそれほど自分の衣裳についてこだわりがないようで、勧められた組み合わせで試着して「悪くないので、これで」と即決していました。
モーニングコート
モーニングコートは昼の正礼装です。
元々はフロックコートの代わりに着られていました。
上着の裾が斜めにカットされて、後ろ丈が長いのが特徴的です。
黒とグレーの縦縞のパンツを合わせて、ベストを着用します。
【シャツ】
白のウイングカラーシャツ
【タイ】
シルバーグレーの結び下げまたはアスコットタイ
【靴】
黒のストレートチップまたはプレーントゥ
燕尾服(テールコート)
夜の正礼装です。
上着の前丈が短く、後ろ丈が膝まで長いのが特徴的です。
裾の部分がツバメの尾のように見えることから「テールコート」と呼ばれます。
【シャツ】
白のウイングカラーシャツ
【タイ】
白の蝶ネクタイ
【靴】
黒エナメルのプレーントゥ
用語解説
ウイングカラーシャツ
洋装の婚礼衣裳用のシャツは「白のウイングカラーシャツ」一択で間違いありません。
簡単に言えば「フォーマルな場面で欠かせない立ち襟シャツ」で、首に沿って襟が立ち、前部分が少し折り返しになっているデザインです。
シャツの襟が鳥の翼のように開いている姿から「ウイング(=翼)カラー(=襟)シャツ」という名前が付けられました。
結び下げ
タイを結んで下げる「一般的なネクタイ」のことを指します。
ネクタイの幅はデザインによって変わりますが、次に紹介するアスコットタイと比較して幅は細めです。
アスコットタイ
19世紀のイギリス、アスコット競馬場に集まる上流階級の人々が着用するモーニングコートに合わせる為のタイとして誕生しました。
「スカーフのような幅広のネクタイ」をイメージしてもらえば、分かりやすいと思います。変形タイの一つで「セミ型ネクタイ」とも呼ばれます。
現代ではモーニングコート以外にも、昼の礼装には欠かせないタイで、上記で紹介したウイングカラーシャツと合わせるのが定番です。
アスコットタイはネクタイと同じように結んだり、タイの両側にリングを通して首元で留めたりして着用します。
また「既に結ばれたタイを首に通した後、留め具で付けるだけでOK」という、フック式のアスコットタイもあります。
アスコットタイは通常のネクタイよりもボリューム感があるデザインですが、アレンジとしてタイブローチやピンを刺すと華やかさがアップします。
蝶ネクタイ
蝶結びにするネクタイのことを「蝶ネクタイ」と言います。
婚礼衣裳には白または黒の蝶ネクタイを合わせます。
既に結び目が作られていて首の後ろや横で留める「ピアネスタイ」と、長いヒモ状のタイを蝶結びにする「ツウ・タイ」の2パターンがあります。
一般的には「ピアネスタイ」が広く使われているので、新しく蝶ネクタイの結び方を覚える必要はありません。
カマーバンド
タキシードを着用する際に、腹部に巻く飾り帯(サッシュ)のことです。
男性の正装では「ベルトを見せてはならない」とされており、タキシードは他の礼装とは違ってベストを着ないので、その代わりにカマーバンドを付けて、ベルトを隠します。
正式なカマーバンドの色は「黒」ですが、蝶ネクタイの色や柄と合わせる場合も多いです。
ストレートチップ
アッパー(足の甲を覆う部分)に横一本線が入っている革靴のことです。
靴は長期的に履き続けていると、履きジワが出てきますが、ストレートチップの場合は、横一本線より先の部分はシワが付きにくく、美しさが保たれるので、フォーマルな服装に合わせる靴として最も人気があります。
プレーントゥ
アッパー(足の甲を覆う部分)に何の装飾がないタイプの革靴のことです。
フォーマル度はストレートチップに次いで2位で、人気も2番目に高いです。
オペラパンプス
アッパー部分にリボン飾りが付き、同じ素材のテープが靴の履き口を包んでいるスリッポンが「オペラパンプス」と言います。
上記で紹介した革靴とは異なり、パテントレザー(革の表面にエナメルでコーティング加工したもの)なので、独特の光沢感があります。
オペラ観劇や音楽会・舞踏会・晩餐会用に、欧州で登場した礼装靴で、花婿の婚礼衣裳としては、燕尾服やタキシードなどの礼装と合わせることが多いです。
ただし「フォーマルな服装には、ストレートチップまたはプレーントゥの革靴」が主流中の主流なので、結婚式の時に身に付ける以外は、ほぼ出番は無いと思います。
選び方
花嫁の衣裳・会場の広さに合わせる
結婚式・披露宴は「花嫁が主役」なので、花婿の婚礼衣裳は「花嫁と並んで釣り合いが取れるもの」を選びます。
例えば花嫁の選んだものが、トレーンの長いクラシカルな正統派のウエディングドレスだと、隣に立った時に準礼装のタキシードでは不釣り合いな印象を与えやすいです。
また広い会場にはフロックコートやテールコートなど、着丈が長い衣裳の方が遠目から見た時にも映えます。
花婿の婚礼衣裳はバリエーションが少ないので、花婿の衣裳さえ決まってしまえば「1~2着を試着して良ければ決定」という感じであっさり終わります。
衣裳数は1着または2着
新郎の衣裳総数は「1着:47.4%」、「2着:45.3%」、合わせて約9割を占めます(平均着用数は1.6着)。
1着または2着の差は「披露宴のお色直しの時に、花婿も着替えるかどうか」に寄ります。
1着は「タキシードのみ」、2着ならば「タキシード+紋服」が人気です。
洋装から和装へのお色直しは時間と費用がかかるので「お色直しはしない」という人もいます。その一方で挙式は和装で行なった場合は「披露宴は洋装」を選ぶ人が多いです。
婚礼衣裳が1着でも、ベストやネクタイなどの小物を変えるだけでも印象が変わるので、工夫のしがいはあると思います。
【1着】
タキシードのみ:60.7%
フロックコートのみ:2.0%
紋服のみ:2.2%
燕尾服のみ:0.8%
【2着】
タキシード+紋服:23.6%
タキシード+フロックコート 1.3%
紋服+フロック:0.6%
コートタキシード+燕尾服:0.9%
手配方法はレンタルが9割
新郎の婚礼衣裳の手配方法は「レンタルした」という意見が最も多いです。
花嫁のウエディングドレスでは「自分だけのドレスが着たかったので、購入した」との購入派も一定数以上いるのですが、男性だと「自分はレンタルで全然構わない」というのが大多数です。
ちなみに今後、結婚式に招待された時に着る機会がありそうな礼服(特にタキシードなど)に関しては、今のタイミングで購入するという人も少なからずいます。
色はブラック以外
洋装の礼服は「ブラック」「ホワイト」「グレー/シルバー」の3パターンが主流です。
男性の招待客はブラック系スーツを着用することが多いので、花婿の婚礼衣裳はブラック以外の色味を選ぶことをおすすめします。
ブラックを選ぶ場合は素材や織りがフォーマルな印象を与える衣裳を選ぶと、主役として引き立ちます。
小物はレンタルまたは自前で用意
洋装の婚礼衣裳では、上着やズボン以外に必要な小物がいくつかあります。
- シャツ
- ネクタイ
- ベスト
- ポケットチーフ
- カマーバンド
- 手袋
- カフスボタン
- 靴
- 靴下
婚礼衣裳やお店によって必要・不必要、レンタルが可能・不可な小物が異なるので、衣裳合わせ時に確認しておきましょう。
父親の衣裳は「モーニング」が一般的
花嫁花婿の両家の父親の服装は、昼間の結婚式であれば「モーニング」の着用が一般的です。
夕方から夜は「燕尾服」や「タキシード」を着ますが「花婿の婚礼衣裳が昼間でもタキシード」と同じように、時間帯に関係なくモーニングを着ることも増えています。
自前でモーニングコートを持っていない場合でも、結婚式場の貸衣裳店などでレンタルが可能なので、衣裳の打ち合わせ時に聞いておきましょう。
ちなみに私が利用した貸衣裳店では「挙式1ヶ月前に来店をして、衣裳合わせに来ていただければ大丈夫です。遠方でなかなか来られない場合は、種類は限られますがカタログで選んでもらえば手配も可能です」という回答をもらいました。
色々な体験談やアンケートを見ていると「父親はモーニング、母親は黒留袖」というパターンが最も多いように思います。
今までの結納や顔合わせと同じように、挙式や披露宴でも互いの両親の服装の格を揃える必要があるので「両家の両親がどのような衣裳で出席を考えているのか?」を確認しておきましょう。
まとめ
【新郎の婚礼衣裳】
昼夜問わず「タキシード」が主流。
衣裳総数はお色直しの有無で「1着派」と「2着派」に分かれる。
花婿の体型や花婿の婚礼衣裳、会場によって相応しいものを選ぶ。
衣裳の手配は「レンタル」が大多数で、必要な小物は自前orレンタルになる。
【父親の婚礼衣裳】
昼夜問わず「モーニングコート」が主流。
持ち合わせが無い場合は、新郎と同じ貸衣裳店でレンタルもOK。