新婚旅行先を海外で考えていると、
結婚前からパスポートを持っているので、何の変更手続きも無しで、海外旅行で使えるなら、そのまま使いたい。
婚姻届の提出から新婚旅行までに日数が無く、新姓でのパスポートを用意するのが難しい。
という悩みに行きつく人が多いのではないでしょうか。
旅券法第十条では
一般旅券の名義人は、当該一般旅券の記載事項に変更を生じた場合には、前条第一項の規定の適用がある場合を除き、遅滞なく、当該一般旅券を返納の上、第三条の規定により新たに一般旅券の発給を申請するものとする。
と「結婚などで氏名が変更になった場合は、新しいパスポートを申請すること」が明記されていますが、実際は旧姓のパスポートで新婚旅行をする人は多いです。
実際に旅行代理店の「良くある質問」を見ても「旧姓のままのパスポートでOK」と書かれています。
ご結婚などにより姓(苗字)が変更になるお客様は
“ご出発当日にお持ちになるパスポート”に記載されている通りのお名前でご予約下さい。
・旧姓のままのパスポートをご利用される場合:旧姓でお申し込み下さい。
・追記申請にて新姓へ変更されている( ご出発前に追記申請する )場合:新姓でお申し込み下さい。
Q.パスポートの名前は、旧姓、新姓、どちらで行くべき?
すでにパスポートをお持ちの方は、旧姓のままで行かれる方が大半です。必須なのは「パスポートの名前」と「航空券の名前(旅行お申し込みの名前)」が一致していること。一致さえしていれば、どちらで行っても問題ありません。パスポートと航空券のお名前が違うと本人確認ができないことになり、飛行機には乗ることができませんので、入籍日と出発日を考慮して、どちらで行くか旅行お申し込み前に決めておきましょう。
では旧姓のパスポートで海外に新婚旅行へ出かける際、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか?
旧姓のままのパスポートを使うメリット&デメリットも合わせて紹介したいと思います。
目次
こんな時は旧姓のパスポートをそのまま使った方が良い
名字が変わった後、新婚旅行まで日数が無く、パスポートの申請や受領が難しい
婚姻届を提出して、新姓でのパスポートが受け取れるまでに、最短で2週間かかります。
大まかなスケジュールは以下の通りです。
1.婚姻届を提出・受理
↓
2.1~2週間後:戸籍謄本、戸籍抄本の発行が可能になる
本籍のある役所に戸籍謄(抄)本を受け取りに行くorコンビニ交付を利用する。1通350円。
↓
3.パスポートセンター(旅券事務所)でパスポートの新規発給or記載事項変更の申請をする
↓
4.1週間後にパスポートセンター(旅券事務所)へパスポートを取りに行く
婚姻届の提出・受理後、開庁時間内であれば、当日中に婚姻届受理証明書や住民票の取得が行なえます。
一方で、パスポートの新規発給に必要な戸籍謄(抄)本は、新しい戸籍が編纂されて、発行可能になるまでに時間がかかり、役所や書類不備の有無によっても異なりますが、婚姻届の提出から戸籍謄(抄)本の発行まで、通常1〜2週間は待たなくてはなりません。
二人で同時にパスポートの申請をするのであれば、戸籍謄本を1枚。個別に申請するのであれば、それぞれ戸籍謄本または自身の戸籍抄本が必要になります。
また戸籍謄(抄)本は、本籍の役所まで取りに行く必要があり、しかも開庁時間は平日に限定されているので、休みを合わせて行く必要があり、なかなか行くタイミングが難しい所があります。
ちなみに一部の自治体では「コンビニ交付」も実施しています。全国どこのコンビニでも戸籍謄(抄)本が交付可能で、毎日6時30分から23時まで受け付けてくれます。
その際にはマイナンバーカード(または住民基本台帳カード)が必要になり、緑色で紙製の通知カードは不可です。
戸籍謄(抄)本が取得できたら、次はパスポートセンター(旅券事務所)で、パスポートの申請を行ない、約一週間後に受け取りに行きます。
パスポートの申請は代理人(配偶者など)でも良いのですが、受け取りは本人である必要があります。
その為、最短で2週間、実際は3週間〜1ヶ月かかるので、入籍希望日と新婚旅行の日程が近かったり、新婚旅行までに新しいパスポートの用意が難しかったりする場合は、手持ちの旧姓のパスポートのまま手続きをした方が良いです。
一部の自治体では婚姻届受理証明書を取得することで、パスポートの早期取得を受け付けている場合もありますが「慌ただしく準備をするのであれば、旧姓のパスポートを利用する」という意見が目立ちますね。
新婚旅行後、海外に行く予定が無い
パスポート(旅券)の新規発給も記載事項変更(氏名変更を行ない、現在有効期限満了日が同じパスポートを新規発給する)も、どちらも手数料がかかります。
新規発給:11,000円(5年間有効)、16,000円(10年間有効)
記載事項変更:6,000円
既にパスポートを持っていて、新婚旅行後、海外旅行をする予定が無ければ「たった1回の為だけに、時間と手数料がかかるのは面倒だと」いう理由から、旧姓のパスポートを利用する人は多いです。
【結婚準備のリアル管理人の話】
JTBやHISなど大手旅行代理店で海外旅行の予約をする際に旅券番号(パスポート番号)を求められることがあります。
これは搭乗券の予約の際に、旅行者の氏名や旅券番号、有効期限を確認する為のもので、予約時にパスポートが無くても申込みすることは可能です。
実際に私たちがハワイ旅行の申込みをJTBで行なった時は「私:新姓のパスポートで行く予定なので、実質はなし。夫:パスポートなし」の状態でしたが、問題なく手続きできました。
後日、JTBの窓口で旅行代金を支払う時に、2人の旅券番号を伝えたのですが、それはハワイ旅行の出発前1ヶ月切った時期でした。
旧姓のパスポートを利用する時の注意点
残存有効期限を確認
有効期間満了日/Date of expiry
日 月 年
手持ちのパスポートの残存有効期間までに、今後、海外旅行に行く機会が無さそうと思うのであれば、そのまま旧姓のパスポートを利用するのも一つの手ですが、その残存有効期限には注意が必要です。
新婚旅行先がハワイの場合、残存有効期限は帰国時まで有効なものであれば良いので、ハワイの滞在予定とパスポートの残存有効期限を照らし合わせて大丈夫かどうかを確認しておきましょう。
パスポートの残存有効期間が1年未満であれば、新しいパスポートの発給申請が可能です。
ツアー、航空券の予約も「旧姓」を使う
航空券を予約する際、搭乗者の氏名はパスポートに記載の氏名と完全に一致させる必要があります。
一字違うだけでも飛行機に乗れないので、一度、航空券を旧姓の氏名で予約した場合は、新姓のパスポートに変更することはNGです。
「旧姓で予約したけど、やっぱり新姓で新婚旅行に行きたい」と思うと、氏名変更=航空券のキャンセル&取り直し扱いになり、別途で手数料がかかったり、席が別々になったり、満席で飛行機に乗れなかったりする可能性があります。また変更を希望する時期によっては早期特典(○日前までの予約完了で○千円OFFなど)の対象外になってしまうことも……。
旅行代理店でツアーパッケージに申し込む際に、申込者氏名とパスポート記載者名(ローマ字 大文字)を申込み用紙に記入しますが、その時までには「自分は旧姓で新婚旅行に行く。旧姓のままのパスポートを使う」と決めておき、一緒に行く配偶者にも伝えておきましょう。
ESTA(エスタ)の申請者氏名も旧姓
ハワイなどアメリカへ入国する際はESTA(エスタ)の申請が必要です。
ESTAを旅行代理店に依頼せず、自分で取得する場合は、Department of Homeland Securityの公式ウェブサイトから申請をするのですが、その際の申請者の氏名も旧姓にします。
申請者/パスポート情報
あなたのパスポートを参照し、この同様のフォームにすべての情報を入力してください。
とあるので、パスポートとESTAの氏名は一致させる必要がある為です。
ESTA申請で間違えて新姓の氏名を記入してしまった場合は、新しく申請を行なえばOKです。
時間が経てば新申請が可能になり、支払い前であれば料金の14ドルはかかりません。
クレジットカードも旧姓の方が安心?
海外旅行では支払いをクレジットカードで行なうことが多いですが、その際に使用するクレジットカードも旧姓のままの方が良いと言われます。
新姓のクレジットカードだと、カード支払いをする際、(免税手続きなどで)パスポートの提示を求められた時に、氏名が異なるとトラブルの原因になる可能性がある為です。
関連記事:旧姓のクレジットカード使用はデメリットばかり!?結婚&引越し後の氏名・住所の変更方法
私がハワイへ新婚旅行へ訪れた際は、免税店に行かなかったこともありますが、支払い時にパスポートの提示を求められることが無く「4ケタの暗証番号を入力orモニターやレシートにサインする」でOKでした。
旧姓のクレジットカードを使う際は「サイン時に名字を間違えない」ことに注意してください。
自分のクレジットカードを使用することに不安を感じているのであれば、
・全ての支払いを夫のクレジットカードに一括する。
・自分は現金で支払いをする。
……という方法もあるので、自分が安心して支払えるものを利用するのが良いように思います。
海外旅行保険の氏名は新姓?旧姓?
戸籍上は名字が変わり、パスポートの氏名が旧姓のままで海外旅行へ行く場合、海外旅行保険はどうすれば良いのでしょうか?
損保ジャパン日本興亜の新・海外旅行保険【off!(オフ)】で、
パスポートの氏名が旧姓の場合、新姓と旧姓のどちらで申し込めば良いのか?
に関する回答があったので紹介します。
契約者の氏名:新姓
契約者宛に保険契約書が郵送されるので、郵便物がきちんと届けられる為にも、契約者の氏名は新姓にします。
クレジットカードの名義が旧姓でも、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコードが正しいものであれば、契約は成立するので大丈夫です。
カードの氏名変更は「ローマ字の氏名」と「署名の氏名」が変わるだけで、他の部分は変更されません。
旧姓の氏名は「新姓での名前では郵便物が届かない場合」に限られます。
新婚旅行の為に海外旅行保険に加入するのであれば、夫婦そろって同じ保険を申し込むと思うので、契約者が夫(名字が結婚前後で変わらない方)であれば、そのまま夫の氏名にすればOKです。
被保険者の氏名:旧姓
被保険者の氏名は旧姓にします。
契約者と被保険者が同一人物(結婚して名字が変更になる方が契約者と被保険者を兼ねる)場合は「契約者の漢字→新姓/ローマ字→旧姓」に変更します。
これは海外でキャッシュレス治療サービス※などを受ける際に、医療機関などでパスポートを使って本人確認を行なうことがある為で、その時に被保険者とパスポートの氏名が一致している必要があります。
※海外の医療機関で治療を受けた際の治療費を、保険会社が支払うサービス。自分たちが治療費を支払う必要が無い。
まとめ
- 旧姓のままのパスポートでも新婚旅行に行ける
- 旅行の手配を旧姓で行なったならば、新姓に変えない
- 旧姓で一致させる必要があるのは、パスポートの記載者名、飛行機の搭乗者、海外旅行保険の被保険者など
- クレジットカードやT/C(トラベラーズチェック)も旧姓のままの方が安心