ウェディングドレスで使用される生地は、ドレスによって様々。
「着たいドレス」を考える時に、デザインだけではなく、生地や素材から考えてみるのも良いです。
特に「ネットでレンタルするので、実物が見られない」「ウェディングドレスをオーダーメイドで作る」「ウエディングドレスを手作りしたい」という場合は、より気を配りたいものです。
ウェディングドレスで良く使われる生地・素材の特徴を覚えておくと、選ぶ際に役立ちます。
目次
ウェディングドレスの生地・素材まとめ
【ウェディングドレス本体】
- サテン
- シャンタン
- タフタ
- ジャカード
- ベルベット・ビロード
- ベロア
【オーバースカート・ベール・トレーンなど】
- チュール
- オーガンジー
- シフォン
- クレープ・ジョーゼット
サテン
生地の表面に綺麗な光沢があり、ウェディングドレスの他に、イブニングドレスや舞台衣装などにも良く用いられる生地です。
使う糸の種類によって名称が異なり、シルク(絹)は「シルクサテン」、綿は「綿サテン」、ポリエステルは「ポリエステルサテン」と呼ばれます。
シルク:厚地が多く、扱いやすい。最高級品で高価。
化繊:滑りやすく扱いが難しい。手頃な価格で手に入る。
基本的に生地屋さんで売られているサテンのほとんどは、ポリエステル100%の生地です。
サテン生地は値段が安ければ安いほど、光沢が強く、生地が薄い傾向にあります。
ドレスで使うようなサテン生地(光沢が落ち着いていて、生地が厚め)は、1mあたりの値段も高くなるので、自分が欲しい生地を見分ける良い目安になります。
【ウェディングドレスに適したサテン生地】
- ブライダルサテン
- バックサテン
- ストレッチサテン
【ウェディングドレスに不向きなサテン生地】
- セラミカサテン
- コスチュームサテン
- スタンダードorベーシックサテン
- ポリエステルサテン
- ミラノサテン
ブライダルサテン
名前通り、ブライダル用に使われるサテン生地です。
上品で控えめな光沢で、ソフトでしなやかさがあり、ドレープも綺麗に入ります。
1mあたりの値段は1,300円~1,500円。
ポリエステル(化繊)のサテンの中でも、値段が高めです。
ウェディングドレスに使う生地としては、真っ先に候補に入れたいのですが、他のサテン生地よりも取り扱っているお店が少なく、色のバリエーションも限られるのがデメリットですね。
バックサテン
横糸に縦糸よりも太めの糸(150デニールなど)を使って、ボリュームと独特のチリメンのようなシボ感があるサテン生地です。「バックサテンシャンタン」とも呼ばれます。
1mあたりの値段は650円~1,500円。
名前通り、表面がつや消し、裏面が光沢のある生地になっています。
※裏表、どちらを使ってもOK。
一般的なサテン(セラミカサテン)よりも、ザラつきのある光沢が特徴的で、上品で高級な雰囲気なので、ウェディングドレスにも良く使用されます。
ストレッチサテン
横に伸縮性がある1Wayストレッチタイプのサテン生地です。
1mあたりの値段は800円~1,000円。
落ち着いた光沢感があり、柔らかい肌触りが特徴的で、シルエットやボリュームを出したい時にも使えます。
淡色はやや透ける傾向にあるので、白系のドレスを考えている人は、1枚だけで使うのにはオススメできません。
セラミカサテンなど
ツヤツヤとした光沢感が強く、一般的に良く利用されるサテン生地。
1mあたりの値段は450円~500円。
カラーバリエーションは豊富ですが、コスプレに使う生地っぽい感じが強いので、ウェディングドレス用にはオススメできません。
他にも
・コスチュームサテン
・スタンダードorベーシックサテン
・ポリエステルサテン
・ミラノサテン
などの「光沢感が強く、生地が薄っぺらく、1mあたりの価格が安い」サテン生地は不向きです。
シャンタン
生地はしっかりした質感で、光沢感は抑えめ。
全体的に「きれいめ」な雰囲気の、上品で高級感が漂う生地です。
横糸が太いので、着物や浴衣生地の紬(つむぎ)のような節(ふし、細かい横線)が入り、適度にムラ感があります。
- バックサテンシャンタン
- シルクシャンタン
- カチオンシャンタン
- ポリエステルシャンタン
などの生地名で販売されています。
上記で挙げたのはどれもドレスやワンピースなどに良く使われている生地です。
糸の素材や織り方で名前や風合いが変わるので、それぞれ見て触って好みのものを選ぶことをおすすめします。
タフタ
薄手で光の反射や見る方向によって色合いが変化する生地です。
サテンとも似ていますが、光沢感は低め。
固くてハリがあり、触り心地は「乾いた」感じ。近くで見ると、わずかに横畝(よこうね)が入っています。
立体感が出やすいので、スレンダータイプよりも、ふんわりとしたドレス向きの生地で、カラードレスやカクテルドレスに用いられます。
リボンや衣服の裏地、洋傘などにも使われる生地です。
タフタはシワになりやすいのがデメリットですが、ギャザーを寄せることで見栄えのする生地なので、あまり気にならないと思います。
ジャカード
ジャカード織機で作られた生地のこと。
横に広いうねりがあり、模様が浮き上がった様な仕上がりになります。
透明感があり、軽くて柔らかいので、ドレープが綺麗に出ます。色糸を使うことで様々な模様が描けます。
柄の大きさによって名前が変わり、大柄なものを「ジャカード」、中間は「セミジャカード」または「インターメディエート・ジャカート」と呼びます。
ベルベット・ビロード
表面に毛羽(ケバ)を出した、柔らかくて光沢がある生地です。
糸自体が毛羽立っていて、それが表面に出たもので、ベロアよりも生地は薄めです。
手触りが良く上質な印象で、ドレス以外にもコートやスーツ、ズボン、帽子などでも良く使われます。
元々はシルクを使った生地を言いましたが、綿や化学繊維を使用したものもベルベット(ビロード)と呼ばれています。
別珍(べっちん)は、綿を使った「綿ビロード」のこと。「コール天」とも言います。
1mあたりの値段が高く、裁断の際に大量に糸くずが出たり、直接アイロンをかけるのがNGだったりと、何かと取り扱いが面倒な生地です。
ベロア
毛足がやや長く、毛羽(ケバ)があり、柔らかくて光沢がある生地です。
生地として織られた後に布地を起毛させたもので、ベルベットよりも毛羽が長く少し厚みもあります。
糸には毛、絹、綿、レーヨン、アセテートなどが使われます。
毛織物の両面を毛羽立てた加工をした生地は「ベロア仕立て」と呼びます。フランネルもその中の一つです。
チュール
細かい六角形の網目状(メッシュ)の布地で、しなやかで透け感があります。
最近はチュールスカートが流行ったことで、良く見かける生地になりましたね。台所で使う「水切りネット」とも似ています。
手触りはバリパリ、ガサガサしがち。
軽くてシワになりにくく、ベールやパニエ、ペチコートに利用したり、他の生地と重ねて使うことでボリュームや高級感が出ます。
ウエディングドレスのウエストラインから下のフワフワっとした部分は、チュールが使われることが多いです。
またチュール生地に刺繍を入れたものは「チュールレース」と呼びます。
素材には絹や綿、ナイロンが使われます。
硬さによって「ソフトチュール」や「ハードチュール」があり、名前通り、ソフトチュールは柔らかめ、ハードチュールは固めになっています。
オーガンジー
チュールよりも繊細で透明感がある生地です。
手触りはつるつるしていますが、少しコシ(程よい張り感、弾力性)があり、ジョーゼットよりも固めな風合いです。
ベールや袖や胸元のシースルー部分に良く用いられます。
スカート部分に重ねてボリュームアップに使うと、フェミニンで優しく、繊細な透明感が出ます。
ジョーゼットと同様に透け感が強いので、一枚だけの利用は不向き。
絹やポリエステル、ナイロンのものがあり、手作りをする場合は、ドレスや使う部位によって、ちょうど良いハリ感の生地を選ぶと良いです。
ウェディングドレスでも使われる「グラスオーガンジー」は、ガラスのような透け感があり、柔らかいオーガンジーのこと。
シフォン
非常に薄く、透明感があり、軽くて柔らかいので、綺麗なドレープが出やすい生地です。
ウェディングドレスやボリュームスカートの生地として用いられます。
元々はシルクを使っていましたが、最近はシルクに似た化繊(化学繊維)を使ったものが多いです。
オーガンジーとも似ていますが、シフォンの方が柔らかい素材を使っているので、柔らかさは「シフォン>ジョーゼット」になります。
また、シフォンのように薄く透き通った生地を「シフォン・(生地名)」という場合もあります。
形容詞的な使い方で、例えば「シフォンジョーゼット」は「普通のジョーゼットよりも柔らかい生地」という意味です。
クレープ・ジョーゼット
シボ(凹凸感)があり、細かいチリメンジワがある生地です。
独特のシャリ感があり、ふんわりと柔らかな手触りが特徴的です。光沢は控えめで、優雅なイメージを表現できます。
透け感が強く、一枚だけで使うのには不向きです。
膨らみを持った美しいドレープや細かいギャザー、プリーツも出やすいです。
スレンダーラインやマーメイドラインのウエディングドレスやベール、ショールに使われることも多いです。
シルク生地には要注意
シルク(絹)は、蚕の繭から作られた天然素材。
色はオフホワイトが中心。
独特の光沢感があり、上品で高級感があります。
シルクシャンタン、シルクサテン、シルクオーガンジーなど様々な生地があります。
シルク素材の生地は「汗をかくとシミになりやすい」「家庭での洗濯が難しい」「日光による紫外線で変色(黄ばみ)やすい」など、何かと取り扱いが大変。
ウエディングドレスを購入したり、自作したりした後に、自宅で保管する時は要注意です。
生地選びは「実物を見て触る」のが大切
同じ生地名でも、取り扱うお店によって、生地の色合い、厚み、地模様、手触り、質感、光沢、雰囲気、生地の幅などが異なることは多々あります。
その為、自分好みの生地を選ぶ為には「実物を見て触る」ことが大切です。
ネットの生地屋さんでも生地のサンプルを送ってくれる所もあるので、是非とも活用したい所ですね。
また同じ生地でも反によっては、色合いが微妙に異なる場合もあります。
「このm数だと足りないかもしれないけど、後から買い足せば良いや」と思わず、残りが出ることを覚悟して、まとめて買うことをおすすめします。