結婚や引越しによるクレジットカードの変更手続きは、
- 婚姻届を提出して入籍した→氏名の変更
- 結婚による引越しをした→住所の変更
- 退職や転職をした→勤め先情報の変更
を、各家庭の事情に合わせてそれぞれ行ないます。
旧姓のまま使い続けることのデメリットは?
クレジットカードの会員規約や銀行の預金規定を見ると「氏名や住所、その他届け出事項に変更があったときは、すみやかに届けること」としています。
ただし姓名や住所などを変更しなくても、罰則があったり、何かの罪に問われたりすることは無く、クレジットカードは毎月の支払いさえしっかり行なっていれば、審査の対象になることもありません。
※利用規約違反により、利用停止や契約解除による全額返済なども考えられますが、ほとんど心配は無いです。
その為「結婚後も名義変更をせず、旧姓の銀行口座を今も使い続けている」「旧姓名義のクレジットカードを持っている」という人も少なくありません。
ただし旧姓のままクレジットカードを持っていると「トラブルが発生した時に対処が大変」という理由から、早めに変更手続きをするようにすすめられています。
海外旅行でカードが使いにくい
新婚旅行を海外で考えている人も多いと思います。
特に新婚旅行先で毎年人気No.1のハワイは、「支払いは少額でもクレジットカード一択!」なほどカード社会なので、支払いの大半をクレジットカードで行ないますが、カード利用時、以下のような場合でパスポートの提示を求められることがあります。
- ホテルにてクレジットカードでの事前支払いやデポジットの要求がある
- クレジットカード払いで購入後、税金還付の申請をする
この時に提示したパスポートの名前とクレジットカードの名義が異なると「盗難カードによる不正利用ではないか?」と疑われて、面倒なトラブルに発展する可能性も否定できません。
“This is my maiden name(original family name)”「これは私の旧姓です」など言えば分かってもらえると思いますが、その国の語学ができず、きちんと説明ができないと、誤解が解けるまでに時間がかかってしまいます。
また、かなり珍しいケースだと思いますが、以下のような話も無い訳ではありません。
欧州旅行で現地のATMでお金を下ろした所、クレジットカードが戻って来ませんでした。
「ATMに取り込まれたクレジットカードを返却するには、名前の証明が必要」となったのですが、旧姓のクレジットカードだったので、新姓のパスポートで名前の証明ができず、最終的には日本領事館にお世話になることに……。
新姓でパスポートを取得した場合は、使用するクレジットカードも新姓にする。旧姓のままのパスポートを使う場合は、旅行中に使用するクレジットカードも氏名変更をせず旧姓のカードを使う……とした方が良いですね。
また上記のトラブルを防ぐ為に「支払いを夫のクレジットカードに一括する」のも一つの手です。
間違えて新姓で署名をすると面倒
ただし旧姓のクレジットカードを使用後、署名(サイン)を旧姓ではなく新姓で行なうと面倒なことになる場合があります。
例えば以下のような事例が挙げられますね。
- カード裏面と署名が違うことを理由に、決済ができない
- 不正利用を疑われる
- 後日、カード会社から利用確認の電話が来る
カードの裏面の名前と違う署名したことで、カードの利用が停止になることは、よほどの事情がない限りは無いと思いますが、毎回のサインでヒヤヒヤしたくないのであれば、早めに名義変更をした方が安心ですね。
紛失時の再発行手続きに時間がかかる
クレジットカードを盗難や紛失で失くしてしまい、再発行する際には、本人確認が行なわれます。
旧姓のままのクレジットカードを失くした場合は、新姓の身分証明書だけではなく「名前が変更になった」ことを証明する公的な書類(例:戸籍謄(抄)本や結婚証明書など)が必要になります。
必要書類を用意したり、確認する事項が多かったりするので、その分、通常よりも時間がかかりやすいです。
今までの家族カードは使えなくなる
結婚するまで実家暮らしで「親の家族カードを使っていた」や「自分が本会員で親に家族カードを持たせていた」という場合、家族カードは使えなくなります。
家族カードは「生計を同一とする配偶者・親・子供(高校生以上を除く18歳以上)」が対象。
生計同一とは、簡単に言えば「生活の財布が一緒」であること。
必ずしも同居が条件ではなく「単身赴任で家族と離れて暮らしている」「進学で一人暮らしをしている子どもに生活費を仕送りしている」という場合も、同一生計だと見なされます。
親元から離れて、結婚をすれば、夫または妻と生計が同一になるので、結婚前までの家族カードが使えなくなるのは当然の話ですね。
家族カードの解約は、通常のクレジットカードと同様に行ないます。
また家族カードを本人名義のカードへ切り替えることはできないので、新規で各種クレジットカードに申し込む必要があります。
各種変更手続きの方法
各種手続きは「インターネット、書面、電話」の3通りの方法があります。
クレジットカード会社によって一部違いありますが、それぞれ変更可能な事項が異なるので、自分が行ないたい変更が何でできるかを事前に確認しておきましょう。
住所変更であれば、ネット、書面、電話のいずれかで行なえますが、氏名変更は書面での手続きが主になります。
インターネットでの変更
【できること】
・自宅住所、電話番号、携帯電話番号の変更
・勤め先の名称、所属部署名、役職、電話番号、年収の変更
【手続き方法】
各クレジットカード会社の会員専用WEBサービスにログイン後「ご登録情報の変更」>「住所・電話番号の変更」から手続きを行ないます。
書面(カード諸変更届)での変更
【できること】
・自宅住所、電話番号、携帯電話番号の変更
・勤め先の名称、所属部署名、役職、電話番号、年収の変更
・利用明細書など送付先の変更
・結婚などで名義(氏名)を変更する際の手続き
・退会、解約
【手続き方法】
各クレジットカード会社のWebサービスや電話で「変更届」を資料請求。
必要事項を記入・捺印後、返送を行ないます。住民票や免許証などの身分証明書のコピーが必要書類として要る場合もあります。
電話での変更
【できること】
・自宅住所、電話番号、携帯電話番号の変更
・勤め先の名称、所属部署名、役職、電話番号、年収の変更
・利用明細書など送付先の変更
・カード諸変更届の取り寄せ
・退会、解約
【手続き方法】
クレジットカード裏面に記載されているクレジットカード会社の番号(サポートデスクなど)に電話をかけて、要望を伝えて案内に従います。
結婚や引越しにより変更する事項
- 氏名(姓、名字)
- 住所
- 引き落とし銀行口座
- 勤め先の情報
氏名(姓、名字)
結婚により姓が変わった場合は、カード名義人の名前も変更します。
姓の変更は書面での手続きが必要で、電話やインターネットから「変更届」を取り寄せて、必要事項を記入・捺印後、クレジットカード会社に送付します。
約1~2週間で新しい名義・カード番号のクレジットカードが届きます。
クレジットカード会社によって「返送後、新しいカードが届くまで、今までのカードが使える/使えない」が異なるので要注意。
以前のカードは「変更届に同封」または「新しいカードが届いたら、磁気部分やICチップ部分をハサミで切って廃棄」と、クレジットカード会社の案内に従って処分をします。
住所
元々の居住地から新しく引っ越した場合は、住所変更の手続きが必要です。
住所変更をしないと「利用明細書や更新の案内が届かない」「新規or更新のクレジットカードが届かない」などのデメリットが考えられます。
住所は比較的頻繁に変更されやすい事項なので、書面以外でもインターネットや電話での変更も受け付けている場合が多いです。
引き落とし銀行口座
結婚で姓が変わった場合は、各金融機関の口座の名義も忘れずに変更します。
カード名義と引き落とし口座名義が同一ではないと「引き落としができず、カードが利用できなくなる」、「新しい名義でのカードが発行できない」という問題が発生する可能性があります。
引き落とし口座に関しては、
- カードの引き落とし口座に指定している金融機関の名義を忘れずに変更する
- 新姓で口座を用意して、引き落とし口座に指定する
という方法で対処すれば、問題ないです。
勤め先の情報
結婚により会社を退職や転職した場合は、勤め先の名称や所属部署名、役職、電話番号、年収などを変更する必要があります。
クレジットカード会社は職業や年収、勤続年数などによって、クレジットカード利用限度額を決める場合があるので、例えば結婚して退職して専業主婦になると、利用限度額が少なくなる可能性があります。
あわせて読みたい:結婚や妊娠で退職したら失業保険はもらえる?給付条件や手続き方法まとめ
良くある質問
専業主婦になっても、独身時代のカードは使える?
結婚に伴う退職で「専業主婦になった」と連絡することで、クレジットカードが使えない、再発行されない……という場合は、ほとんどありません。
今までカードを利用してきて「きちんと引き落としがされている」という信用状態ができていれば、引き続きカードは利用できます。
専業主婦になることで、以前よりも収入が下がってしまうと、利用限度額も下がる可能性はあります。
具体的な対応に関してはクレジットカード会社によって異なるので、気になる人は変更手続き前にサポートデスクなどで確認することをおすすめします。
専業主婦だと新規クレジットカードの審査に通りにくい?
クレジットカードは、事前に信用審査があり「18歳以上で、支払い能力を有している(=本人に安定収入がある)」と判断された人にだけ発行されるものです。
専業主婦は「無職」と同じ扱いになるので、会社勤めの時よりはどうしても審査に落ちやすくなるのは仕方がないことですね……。
「結婚後もクレジットカードを使いたい」という場合は、以下のような方法があります。
- 独身時代のカードを引き続き利用する
- 仕事を辞める前にカードを作ってしまう
- 専業主婦や学生など無収入でも発行されやすいカードに申し込む
- 結婚相手が持っているカードの家族カードに申し込む
相手が借金持ちでも審査は大丈夫?
借金持ちや破産していてクレジットカードが持てない相手と結婚した場合「同一生計として、自分も新規のクレジットカードが持てない(審査で落ちる)のではないか?」という理由から、クレジットカードの変更手続きを躊躇する人もいます。
相手の信用情報と自分の信用情報は「別物」なので、今までの利用で支払いの遅延など問題が無ければ「クレジットカードが一切持てない」という心配はありません。
【信用情報】
個人の年収や住宅情報、勤務先などの属性情報、クレジットカードやローン、公共料金などの支払い情報のこと。
夫婦共働きで互いに独立して収入を得ている場合は問題ありませんが、専業主婦が新規でクレジットカードに申し込む場合は、配偶者の信用情報が大きく関わってくるので、審査に通るのは難しくなります。
その為、独身時代で会社勤めの内にクレジットカードを作ったり、無収入でも審査に通りやすいクレジットカードに申し込んだりすることをおすすめします。
いかがでしたか?
クレジットカードの名義・住所・勤め先の変更などの手続きは、婚姻届の提出や引越しの後に、
- 身分証明書(運転免許証や健康保険証など)の変更
- ゆうちょ銀行など各金融機関の口座の名義・住所変更
- 生命保険や損害保険の名義・住所変更
- パスポートの申請
などと一緒に行なうとスムーズです。
「今はクレジットカードを全然使っていないから、後で良いや」などと思っていると、いざ使う時になって困ることが多々あるので、忘れずに手続きを済ませておきましょう。
やるべき手続きの多さにうんざりすると思いますが、それも含めて「新生活の準備」なので、頑張って下さい。